“今年いちばん良かった社内イベント”と言われる忘年会を、準備〜当日運営までこの一本で仕上げる実践ガイド。貸切か相席か、ブッフェかコースか、プロジェクターやマイクは何本必要か、盛り上がる余興や表彰の作り方まで、幹事さんが迷いがちなポイントを体系的に解説します。
1. まず決めるべき「軸」5つ
- 目的:慰労/一体感醸成/表彰/来期キックオフ
- 雰囲気:フォーマル(表彰中心)/カジュアル(交流中心)
- 体験:食事重視/余興重視/フォト・動画映え重視
- 移動コスト:駅近・天候影響・導線(受付→クローク→会場)
- 個人最適:アレルギー・ハラール・ベジ対応、控えめ飲酒の人への配慮
この5軸が決まると、会場・料理・機材・コンテンツの選択が一気にスムーズになります。
2. 会場選び:貸切 or 共用?
貸切のメリット
- 音量・照明・レイアウトを自由に設計(余興や表彰が映える)
- 受付・導線・フォトスポットなどブランド感を出しやすい
- 進行遅延や追加演出に柔軟(社内ムービーやサプライズにも◎)
共用(フロア一部)のメリット
- 価格が抑えやすい/直前予約が利きやすい
- 少人数開催や二次会のハブとして使いやすい
判断基準:
- 表彰・ムービー・カラオケが重要→貸切
- 歓談メイン・予算重視→共用
- 40〜60名で「マイク2本+プロジェクター+音響」なら小〜中規模貸切が最適
3. タイムテーブルの黄金比
120分プラン(標準)
- 00:00 受付・ウェルカムBGM
- 00:10 開会挨拶/乾杯
- 00:15 料理提供開始・歓談
- 00:40 アイスブレイク(早押しクイズ/フォトミッション)
- 01:05 表彰①(年間MVP/ベストプロジェクト)
- 01:25 余興(ビンゴ/抽選/チーム対抗ゲーム)
- 01:50 表彰②&記念撮影
- 02:00 お開き
150分プラン(表彰多め)
- 中盤にスライド表彰とメッセージ動画を加える
180分プラン(交流重視)
- ゲーム時間を伸ばし、席替えや部署横断シャッフルを挿入
4. 料理&ドリンク:ブッフェ or コースの正解
ブッフェ
- メリット:交流が活性化/写真映え/好みで選べる
- 注意:人気料理に偏り→補充タイミングと動線を設計(入口から遠い位置にデザート/軽食、中央に主菜を置くと渋滞分散)
コース
- メリット:サーブが楽/席次を整理できフォーマル向け
- 注意:歓談や移動がやや抑制→前菜後にミニゲームなど起伏を作る
飲み放題の最適化
- ビール党/ハイボール党/ソフトドリンク派の三極対応
- ノンアルを充実(クラフト系/モクテル)→誰も取り残さない
5. 機材まわり:プロジェクター/スクリーン/マイク/音響
- プロジェクター:3000lm以上/HDMI・USB-C変換を事前確認
- スクリーン:80〜120インチ(会場の奥からも見える高さ)
- マイク:ワイヤレス2本が基本(司会+インタビュー)。表彰多めなら3本。
- 音響:BGM用とマイク用の音量バランスをリハでチェック
- 司会台本とスライドは別端末(万一のフリーズに備える)
- 配信/記録:固定カメラ+三脚で表彰シーンだけでも撮ると社内資産化に効く
6. 参加者が主役になる“勝てるコンテンツ”25選
ウォームアップ(10〜15分)
- スマホ早撮りミッション(指定ポーズ/チームで撮影→スクリーン投影)
- 今年の流行クイズ(社内ネタ×一般ネタ)
- 名札ビンゴ(名札に3ワード→該当者を探して埋める)
参加型ゲーム
4. チーム対抗ピッチ(1分で「今年の学び」発表→拍手測定アプリで勝敗)
5. イントロ/イントロ風効果音当て
6. お絵かき伝言ゲーム(スクリーンにミラーリング)
7. 会社ヒストリー年表当て(創業/受賞/出店など)
8. 社内ミーム大賞(スライドで“今年の社内あるある”)
交流・縦横断
9. 席替えシャッフル(20分ごとにテーブル移動)
10. “ありがとうカード”交換(1人3枚、感謝をその場で)
11. ペア自己紹介60秒×2(部署横断)
表彰・称賛
12. MVP/ルーキー/ベストサポーター/チーム賞
13. 失敗から学んだで賞(心理的安全性の象徴)
14. Good Job フォト(現場写真に称賛コメントを重ねて上映)
抽選・景品
15. シリアルナンバー抽選(受付QRで自動採番→当日抽選)
16. “部署対抗”抽選枠(部署の出席率で当選枠UPなど)
映像・音楽
17. 1年ダイジェスト動画(写真+短尺クリップ)
18. メッセージムービー(退職/転勤者がいる場合)
19. サプライズ登場BGM(照明落とし→入場)
クリエイティブ
20. オリジナルカクテル命名(最優秀ネーミングを来季採用)
21. ロゴ入りフォトフレームでチェキ撮影→その場で掲示
ゆる競技
22. 箸で豆つかみリレー/紙コップタワー
23. ジェスチャーしりとり
締めの高揚
24. 来季スローガン投票(投票QR→リアルタイム集計)
25. みんなで一本締め+集合写真(スクリーンにカウントダウン)
コツ:
- “見るだけ”より“出番がある”演出を散りばめる
- ムービー→表彰→抽選の三段構えで感情の起伏を作る
7. 司会台本テンプレ&挨拶・乾杯・締めの例文
開会(例)
「皆さま、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。ただいまより〇〇部 忘年会を開会いたします。今年のテーマは“○○”。まずは部長の△△よりご挨拶を—」
乾杯(例)
「グラスのご準備をお願いします。今年の挑戦と成長に、そして来年の飛躍に—乾杯!」
表彰導入(例)
「今年を語る上で欠かせないのが、皆さま一人ひとりの成果です。まずはMVPの発表から…」
締め(例)
「最後に、来年のスローガン“○○”を胸に、一本締めで締めたいと思います。よーお!」
8. 予算設計:一人あたりの目安とコスト最適化
- 相場感(目安):
- 立食ブッフェ+飲み放題:¥4,000〜¥6,500/人
- 着席コース+飲み放題:¥5,500〜¥8,000/人
- 上手な配分:料理50%・ドリンク20%・会場/機材15%・演出/景品10%・予備5%
- 節約テク:景品は1等豪華+多数の小当たりで満足度UP/ムービーは社内素材で内製
9. 幹事のToDo & 当日チェックリスト
1か月前:日時・人数・会場仮押さえ/上長合意/告知案内
3週間前:料理プラン確定/機材要件(プロジェクター・マイク本数・BGM)
2週間前:表彰候補決定/景品手配/ムービー編集着手
1週間前:台本FIX/席次・名札/受付導線/支払い条件確認
前日:司会・音響リハ/端子類とバックアップPC/抽選番号作成
当日:
- 受付:QR/名簿/名札/お釣り
- 機材:映像出力・音量・マイク電池
- 運営:料理の補充タイミング/写真・動画の記録係アサイン
- 片付け:忘れ物・領収書・アンケート回収
10. トラブル回避:キャンセル・アレルギー・騒音対応
- キャンセル規定:締切日・人数確定日を全員に共有
- アレルギー:申告フォーム/名札に小アイコンで厨房へ伝達
- 飲酒配慮:ノンアル充実/“飲ませる空気”の禁止を明文化
- 騒音:貸切は防音レベル確認/共用時は盛り上げ演出の時間帯を限定
11. 人数別の最適解:30人/50人/100人
- 30人:マイク2本・プロジェクター1台。席替えシャッフルと自己紹介60秒が効く
- 50人:チーム対抗と表彰2枠で起伏を。抽選はQRでスムーズ
- 100人:司会+音響専任を分ける。大型スクリーンとサテライトモニターで視認性確保
12. 企画を“社内資産”にする事後施策
- 写真/動画を社内ポータルに即日共有(アルバム命名を統一)
- 称賛カードをデータ化し、来期の表彰指標に反映
- アンケート(5問/2分)で次回改善へ
13. よくある質問(FAQ)
Q1. マイクは何本必要?
A. 最低2本(司会+ゲスト)。表彰・インタビューが多いなら3本以上。
Q2. プロジェクターの明るさは?
A. 3000ルーメン以上が目安。照明を落とさなくても見えるかをリハで確認。
Q3. ブッフェの取り合い対策は?
A. 補充タイミングを司会と連携。人気料理は2ラインで渋滞回避。
Q4. ゲームは苦手な人も楽しめる?
A. 見る役→投票役→一言コメント役など段階的な関わりを用意。
Q5. 直前に人数が増減したら?
A. 受付で“+5名分の名札・抽選番号”を予備準備。料理は+5%の余裕枠。
Q6. お酒が苦手な人への配慮は?
A. モクテル・ノンアルビール・ホットドリンクをラインナップに。
Q7. 予算内で豪華に見せるコツは?
A. 入場演出(BGM+ライト)、大型スクリーン、フォトスポットの3点に集中投資。
まとめ
忘年会の成功は、目的設計→会場/料理/機材→“参加者が主役”のコンテンツ→丁寧な運営の順で決まります。
- 貸切は演出の自由度と一体感が強み
- ブッフェは交流を促進、コースはフォーマルに最適
- プロジェクター&マイクは“見える・聞こえる”体験を担保
- コンテンツは出番の設計と**三段構え(ムービー→表彰→抽選)**で盛り上げる
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